年収倍率

フィデリティの経験則: 30歳で年収の1倍、40歳で2倍、50歳で4倍、60歳で6倍、67歳で7倍の資産形成を目指す。

退職希望年齢や希望する退職後の生活水準などが、個人の資産形成目標に影響を与えます。

現在の資産形成額がこの水準に達していなくても、心配する必要はありません。それを補う方法はあります。重要なのは行動を起こすことなのです。

退職に向けた資産形成を考える上で重要となる4つの指標(資産形成比率、年収倍率、個人資産代替率、持続可能な引出率)と、各指標間の関係性
レポート:退職に向けたロードマップ

退職に向けた資産形成を考える上で重要となる4つの指標(資産形成比率、年収倍率、個人資産代替率、持続可能な引出率)と、各指標間の関係性

退職後に備える相互に関連する4つの指標

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退職に向けてどのくらい資産を創り出す必要があるでしょうか?これは誰もが抱える課題ですが、これに答えようとすると、予想できない前提が非常に多くあることも確かです。例えば、いつ退職するのか? 退職後にどのくらいの生活資金が必要か? 退職後の生活期間がどのくらいになるか?などです。

確かに不透明要因が多いものの、広範囲に及ぶ分析を行うことで、リタイアメント・プランを策定する上で役に立つ、途中経過の達成度をみる「年齢ごとの年収倍率」を導き出すことができました。もちろん、年収倍率はあくまでも目安であって、常にこれを達成できるわけではありません。しかし、退職後も退職前の生活水準を維持するのに十分な資産形成を策定する上で、こうした途中経過における目標は十分に役立つと考えています。

年収倍率は、個人が25歳から年収の16%の資産形成を行い、生涯にわたってその資産の50%以上を株式に投資し、67歳で2年分の所得に相当する退職一時金を受け取って退職し、退職後も退職前の生活水準を維持するとの仮定に基づいています。

こうした前提に立って、67歳までに退職直前年収の7倍の資産を創り上げられれば、2年分の退職一時金とあわせて、退職後もそれまでの生活水準を維持する年収を確保できると見積もっています。この7倍の目標は意欲的すぎるように思われるかもしれませんが、そこまでには何年も時間をかけることができます。順調に資産を増やすために、30歳で少なくとも年収の1倍、40歳で2倍、50歳で4倍、60歳で6倍の資産という途中の目標を作りました。以下の2つの主要な要因など、様々な要因によって、個人の目標資産額は異なってくるでしょうが、途中経過の目標を作ることは、資産計画を作って、その進捗状況を確認する上で役に立つと考えています(注記1)。

退職準備の道しるべ―年齢別年収倍率

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(注)退職後も同じレベルの生活を維持するために必要な資金を確保するために、年齢毎にその年齢の年収に対して何倍の資産があれば計画通りの準備が進むかを示したもの

いつ退職する予定か

退職希望年齢が、創り上げる資産額や年齢ごとの年収倍率に大きな影響を与えます。退職を先に延ばせば延ばすほど、年収倍率は低くなります。それは、資産を積み増す時間がより長くなり、運用による資産成長の可能性も高まります。また退職後の期間が短くなり、退職後の生活費総額が少なくて済みますし、繰り下げ受給で公的年金の給付額を増やすこともできます。

前提を置いていくつかの例をご紹介します(図表を参照ください)。例えば、退職を70歳まで遅らせることで、退職後も退職前の生活水準を維持するためには、退職直前年収の5倍の資産を用意すれが良いことがわかります。一方、67歳で退職するつもりなら、退職直前年収の7倍の資産が必要になります。さらに62歳で退職する計画なら、少なくとも退職直前年収の10倍の資産を用意する必要に迫られるのです(注記2)。

もちろんいつ退職するかを選べるわけではありません。健康状態や仕事は必ずしも計画通りには行きません。ただ一つはっきりしていることは、長く働くほどゴールを達成しやすくなるということです。

退職年齢によって必要な年収倍率が変わる

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詳しい情報については、注記2を参照ください。

退職後にどのような暮らしを望んでいるかによって、年収倍率が変わる

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詳しい情報については、注記3を参照ください。

退職後にどのような暮しを望んでいるか

退職後の生活費を現役時代の生活費と比べて、「抑制気味の生活」、「変わらない生活」、「現役時代以上の生活」の3つに分けています。

67歳で退職することを前提に生活水準別に年収倍率を比較してみましょう(図表を参照ください)。現役時代よりも倹約して暮らすことを計画し、生活費を抑制気味に想定する場合、年収倍率は7倍よりも6倍に近くなるでしょう。退職前と同じような生活水準を維持することを前提にすると、年収倍率は7倍です。退職後に各地を旅行するなどで、退職後の支出が増えることを想定すると、その分、より多くの資金を創っておく必要があり、年収倍率は67歳時点で9倍とみておくべきです(注記3)。
 

株式のリスクを取る

何歳で退職し、退職後にどのような生活を送りたいと考えているかによって、退職時に必要な資産額と、年齢ごとの年収倍率という途中経過の目標値が変わってきます。

年齢ごとの資産目標を達成できなければどうなるでしょうか?例えば40歳以下の方であれば、その後にもっと資産形成を進め、分散投資を通じて投資元本の成長を図る必要があるでしょう。もちろん、株式は債券またはキャッシュと比較して変動が大きいため、そのリスクを受け入れる必要があります。40歳を超えているなら、資産形成額を増し、支出を抑え、可能な限り長く働く必要があります。

年齢に関係なく、目標達成を目指すことが重要です。年齢毎の目安に近づいていなくても、心配することはありません。次の途中経過目標を目指して資産形成を進め、その不足分を補っていけばいいのです。重要なことは行動を起こすことであり、その行動は早いに越したことはありません。
 

年収倍率に関する注記

本サイトに記載された内容は情報提供を目的としており、特定の投資家の投資ニーズに合わせたものではありません。

フィデリティでは、それぞれの年齢時点でその時の資産形成額が退職後における潜在的な必要年収を満たす水準にあるかどうかを見極める手段の1つとして、年齢別の一連の年収倍率を開発しています。

過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。個々の人生設計、リスク許容度、退職後の生活水準、財務状況に基づいて退職プランを策定することをお勧めします。

 

  1. 年収倍率7倍の経験則の算出には、一般的なターゲット・デート・ファンドの株式配分比率(退職など目標時期が近づくに従ってリスク性資産の配分を減らす)に沿った形で年齢別の資産配分を使い、16%の資産形成比率、1.8%の実質賃金の伸び率、67歳の退職年齢、93歳までの人生設計などを前提としています。個人資産代替率は、退職直前年収の36%と推計されており、退職直前の2年分の所得を退職一時金として受け取り(退職直前年収の8%相当)、その他の終身型の年金受け取りはないものと仮定しています。この個人資産代替率は総務省統計局の全国消費実態調査2014年のデータに基づいています。フィデリティでは、非常に多くの資産構成でこのシミュレーションを行い、パフォーマンスの悪い想定も含めて、資産形成期間中における80%の信頼度と退職後の(資産取り崩し)期間中における90%の信頼度でこれらの数値を確認しています。このシミュレーションでは、株式/債券/キャッシュの3資産を「年齢に基づく」資産配分でポートフォリオとし、毎月末にリバランスしながら様々な市場環境下で起こりうるリターンやボラティリティを検証しています。それぞれのデータは、1990年から2017年までの年間データを、ブルームバーグ及びデータストリームから入手しています。具体的には、株式(国内及び海外)はMSCI オール・カントリー・ワールド・トータル・リターン・インデックス、債券はバークレイズ総合トータル・リターン・インデックス(バリュー、ヘッジあり・日本円ベース)、短期金融資産は3ヶ月 LIBORインデックスを使っています。
    全ての計算は理論的なもので、算出された年収倍率は将来の結果を保証するものではありません。特定の投資リターンを反映しているものではなく、または個人の特定の口座を考慮しているわけでもありません。年収倍率は、参考情報の1つとして、退職後年収を評価する上で役に立つものであるとご理解ください。銘柄の入れ替え(リバランス)における取引コストは想定されておらず、手数料も考慮されていません。これらのコスト・手数料を反映した場合、ポートフォリオのリターンは低下します。資産配分や分散投資は利益を約束するものではなく、損失の回避を保証するものでもありません。全てのインデックスは運用対象商品ではなく、インデックスに直接投資することはできません。理論的な計算では、手数料などの費用が反映されておらず、実際の投資リターンは通常、その分低下します。また、税金も考慮されていません。
  2. 36%の個人資産代替率の計算は、総務省統計局の全国消費実態調査2014年に基づいており、退職直前年収で500万円~950万円の範囲では有意である結果となっていますが、退職直前年収が500万円~950万円の範囲外の場合、妥当性が低くなります。36%の個人資産代替率は、67歳で退職し、その時から公的年金を受給することを前提としています。67歳になる前に退職し、年金を請求する場合には、想定される公的年金の受給額が少なくなること、退職前の投資期間が短くなること、生活費を資産からの引き出しで賄う必要のある退職後の期間が長くなることなどにより、この個人資産代替率は高くなります。同様に、67歳よりも遅くに退職した場合、これらの要因に加え、繰り下げ受給による公的年金受給額が増えるため、この個人資産代替率は低くなります。退職年齢が65歳の場合、この個人資産代替率は退職直前年収の39%と推計され、退職年齢が70歳の場合、31%と推計しています。年収倍率は個人資産代替率と退職年齢の両方を要件としているため、退職年齢が早い場合、想定される公的年金の受給額が少なくなり、退職後の期間が長くなることにより、この数値は高くなります。同様に、退職年齢が遅い場合、この目標は低くなります。退職年齢が65歳の場合、この目標は退職直前年収の8倍に、退職年齢が70歳の場合、5倍と推計しています。パフォーマンスに関する前提については、注記1を参照ください。
  3. フィデリティでは、総務省統計局の全国消費実態調査2014年の調査に基づき、55歳~59歳と65歳以上の家計消費データを比較・分析し、退職後も退職前までと同様な生活水準を維持するために必要な個人資産代替率を36%と算出しています。退職後に抑制的な生活を想定する場合では、この数値が退職直前年収の29%となり、平均以上の生活を想定する場合には、退職直前年収の43%と想定しています。これに合わせて、抑制的な生活の場合には、年収倍率は7倍から6倍に低下し、平均以上の生活を想定する場合には、9倍に上昇します。