資産形成比率

要旨

フィデリティの経験則:退職後の生活のために、年収(税引き前)の少なくとも16%を毎年資産形成に振り向ける。この16%には、確定拠出年金の事業主掛金なども含まれる。

求められる資産形成比率は、退職時期、退職後の生活水準、資産形成開始時期などの様々な要因によって変わってくる。また、現時点でどれだけの資産があるかも重要な要因となる。

退職に向けた資産形成を考える上で重要となる4つの指標(資産形成比率、年収倍率、個人資産代替率、持続可能な引出率)と、各指標間の関係性
レポート:退職に向けたロードマップ

退職に向けた資産形成を考える上で重要となる4つの指標(資産形成比率、年収倍率、個人資産代替率、持続可能な引出率)と、各指標間の関係性

退職後に備える相互に関連する4つの指標

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誰もが退職後の生活に夢を持っています。例えば、翌日のことを考えないで夜更かししたいとか、晴れた日の午後に自転車に乗るなど、ささやかな夢を持っている人もいれば、90歳でスカイダイビングをやるといった大胆な夢を持っている人もいます。自分の夢を実現するためには、今から資産形成をする必要があり、退職後にお金の心配をしなくて済むように、十分な資産を確保することが重要です。

どれだけの資産があれば十分と言えるのか?

フィデリティの経験則からいえば、年収(税引前)の少なくとも16%を毎年資産形成に回すべきでしょう。これは、25歳から67歳まで、退職後に備えた資産形成を続け、結果として退職後も退職前と同じような生活水準を維持できるだけの十分な収入を確保するための水準です。

この16%という数字を導き出すために、まず退職前後の支出を分析しています。その結果、退職後も退職前と同じような生活水準を維持するためには、退職直前年収の70%~80%が退職後の年収として必要だとわかってきました(注記1)。

もちろん、公的年金の受給も想定できますので、その全てを個人の資産で賄う必要はありません。フィデリティの計算では、ほとんどの人は退職直前年収(税引き前)の約36%を自身の資産からの引き出しで賄えばいいとみています。25歳から67歳まで、年収の16%を毎年資産形成に回し、さらに2年分の退職一時金を受け取ることができれば、退職後も退職前と同じような生活水準を維持することが可能とみています。

例えば、現在、25歳で年収300万円の人の場合には、年収の増加率を1.8%と仮定して(インフレ調整後)、67歳の年収が約620万円に達します。退職後も退職前の生活水準を維持するためには、退職直前年収620万円の36%分、つまり毎年223万円強(インフレ調整後)を個人資産からの引き出しで賄う必要があるとわかります。(残りは公的年金によって賄う。)

16%で十分か?

年収の何パーセントを毎年資産形成に回すべきかについては、それを開始する年齢、運用方法、退職時期、退職後の生活水準など、退職前に行う意思決定によって変わってきます。

ここまで、資産形成比率について説明しましたが、ここからは資産形成そのものに関する注意点についていくつか説明します。
 

早く資産形成を始める

最も重要なことは、早く資産形成を始めることです。早ければ早いほど、資産運用の期間が長くなり、万一相場の下落局面があってもそこから立ち直る期間も長くなります。

ただ、退職までにまだ数十年もあると、退職後のことを今から考えるのは難しいかもしれません。しかし、若い時にこそ、退職後に備えた資産形成を始めるべきです。もちろん簡単ではありませんが、将来に向けて資産を創りはじめることは、より長い運用期間を生かすことで、この難しい課題を乗り越えることができるのです。
 

始める時期が早ければ早いほど、資産形成比率は低くて済む

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(注)スタートの段階では退職に向けた資産はないものと仮定しています。詳しい情報については、以下の注記2を参照ください。

退職時期を遅らせる

資産形成比率を16%と設定する場合、67歳を退職年齢と仮定しています。67歳より前に退職する場合、年収の20%以上を資産形成に回す必要がでてきます。67歳を過ぎても働き続けるなら、必要な資産形成比率は低くなるはずです(注記2)。

退職時期を遅らせることには、3つのメリットがあります。資産形成を行う時期が長くなり、その資産が運用で増える可能性が高まります。逆に、退職後の生活期間が短くなり、個人の資産から賄う生活費が少なくなります。さらに公的年金の繰り下げ受給もできれば、それをあわせて割増しで受給することも可能になります。

どうすればよいか?

退職までの道のりは長く、資産形成額が年齢ごとの目標に達していなくても、それを補う方法はあります。ここでは、資産形成を始める上でのコツを5つ紹介しましょう。

確定拠出年金制度を最大限に活用する

確定拠出年金制度(DC)のような税制面での優遇措置は最大限に活用します。DCの掛け金は課税所得から全額控除でき、還付された税金を追加で資産形成に振り向けることもできます。また、拠出した掛け金の運用益は、退職後にそれを引き出すまで課税されません。さらに、退職時に引き出す際にも退職所得控除のメリットが受けられます。

最大限にマッチング拠出を活用する

企業型確定拠出年金及び個人型確定拠出年金(iDeCo)への拠出では、年間掛け金が限度額に達していないのであれば、可能な限り掛け金を増やすべきです。企業型確定拠出年金制度でマッチング拠出制度が導入されている場合には、これもできるだけ活用すべきです。

資産形成に回す比率を1%でも増やす

年収から資産形成に回す比率を1%だけ増やしただけでも、20年後または30年後には、資産形成額に大きな違いが生じるものです。

ポートフォリオの資産配分を調整する

相場変動でポートフォリオの資産配分比率は変化します。株式への配分が多すぎると、損失を被るリスクが高まる可能性があり、配分が少なすぎると上昇の余地が限られることになりかねません。分散投資が必要で、長期目標に沿った運用を行う上では、少なくとも年1回、株式、債券、及びキャッシュへの配分比率を見直し、適正に調整する必要があります(注記4)。

投資スタイルを検証する

資産配分やその変更等を行う知識、意志、時間がなければ、年齢に応じて資産配分そのものを適切に変更してくれるターゲット・デート・ファンドなどの活用を検討する必要があります。これらはプロのファンド・マネージャーが個人に代わって運用を行うものです。

 

資産形成を優先させる

将来の夢を追い続けることは重要です。そのためには少なくとも年収の16%を資産形成に回すことを目標としてください。もちろん、この目標を毎年達成することは難しいかもしれません。子どもの学費や親の介護、住宅購入や万一の失業等お金がかかる状況に直面するかもしれませんが、決して自身の将来、すなわち自身の退職後の生活についても忘れないようにしてください。

必要な資産形成比率に関する注記

本サイトに記載の内容は情報提供を目的としており、特定の投資家の投資ニーズに合わせたものではありません。

過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

株式市場は変動が激しく、発行体、政治、規制、市場、または経済などの状況に反応して大幅に下落する可能性があります。

ターゲット・デート・ファンドといった投資の選択肢は、その名前に示されている年の前後に退職を予定している投資家のために設計されています。ターゲット・デート・ファンドの投資リスクは、資産配分の変更に伴って時間の経過するごとに変化します。金融市場のボラティリティ(国内外の債券及び株式のボラティリティなど)の影響を受けるとともに、為替に関連したリスクにさらされる可能性もあります。投資元本は、いかなる時でも保証されるものではありません。

フィデリティでは、個々の人生設計、リスク許容度、退職後の生活水準、財務状況に基づいて退職プランを策定することをお勧めします。
 

  1. フィデリティでは、当社の分析に基づいて、資産形成比率として年収(税引前)の16%を提示しています。その算出の前提として、25歳から退職年齢である67歳までこの金額を拠出し、その間の実質賃金の伸びは年率1.8%、退職時に2年分の所得相当となる退職一時金を受け取り、67歳から93歳までの退職期間において、退職直前年収の36%(個人資産代替率、そのうち退職一時金分が8%を占めます)を使っていくと想定しています(その他の終身年金などの収入がないことを前提にしています)。個人資産代替率は、総務省統計局の全国消費実態調査2014年のデータに基づいて計算しており、退職直前年収で500万円~950万円の範囲では有意である結果となっていますが、その範囲外の場合、妥当性が低くなります。退職年齢、退職後の生活水準、これまでに作り上げた資産、及びその他の要因によって、36%以上の引き出しが必要であったり、それ未満で済んだりする場合もあります。パフォーマンスに関する前提については、注記4を参照ください。
  2. 30歳の時点から退職に向けた資産形成を始め、67歳で退職する場合、18%の資産形成比率が必要になります。同様に、35歳で資産形成を始め、67歳で退職する場合では、この比率は20%に上昇します。パフォーマンスに関する前提については、注記3を参照ください。
  3. 資産形成比率の数値は理論的なもので、現実の投資結果または実際の生涯収入を反映しておらず、将来の結果を保証するものではありません。それぞれの数値は、特定のユーザーの特別な状況、特定の口座、あるいは特定の投資または投資戦略を考慮しているわけではありません。退職年齢、平均余命、市場環境、退職後の生活水準、及びその他の要因は個々によって異なるため、それぞれの資産形成額がこれより多かったり少なかったりする場合があります。
  4. 資産形成比率の算出は、株式/債券/キャッシュの資産配分ポートフォリオをもとに、過去の市場データを前提にした様々な市場環境下で想定されるリターンやボラティリティを使ったシミュレーション結果に基づいています。退職年齢、人生設計年齢、実質賃金の伸び、個人資産代替率、2年間の年収に相当する退職一時金の受取を前提とし、非常に多くの市場データで検証した結果、90%の信頼度を得る結果となっています。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。またここでの検証は、手数料などの費用が反映されておらず、実際の投資リターンは通常、手数料などの費用により低下します。また、税金も考慮しておりません。